【経絡ヨーガ療法の理論と実践⑨脾・胃経】

脾経(陰)と胃経(陽)は、陰陽でペアになっています。
脾臓と胃は、日常の飲食によって最も影響を受ける臓器であり、食べたものが血液や氣となるため、他の臓器にとっても生命の源と考えられています。

<脾臓>は、古くなった赤血球を破壊したり、外から侵入した細菌やウイルスと闘う抗体を製造します。
脾臓の機能障害や脾氣が乱れると、體の全組織がアンバランスを生じ、全身に邪氣と汚血が生じます。
また、無気力・虚弱・潰瘍・肥満等は脾氣が不足しているサインと考えられます。

<胃>は、食べたものを消化し、栄養を分配する主要な消化官です。
胃は、<體・心・魂>全てのレベルにおいて、必要なエネルギーを供給する重要な機能を担っていると言われています。
化学物質や農薬等で汚染されていない食物と水を摂取することは、健全な胃の機能や胃氣を維持する上で、ひいては<體・心・魂>の全体調和を叶える上で非常に重要です。

中国医学では、感情は「氣」の現れのひとつであると考えられており、長期に渡る感情の乱れは、臓器や経絡の機能を障害します。
また臓器の機能不全や経絡の氣のアンバランスも、感情の偏りや乱れを生じさせます。
脾氣がアンバランスになると、「不安・心配」という感情が生じやすくなります。
これらの感情が続くと、脾氣の関連器官である「口」に炎症や痛みが生じます。
また、独断的な考え方や脅迫観念、融通が利かないなどの心の状態も、脾氣の乱れと関係しています。
このように、體:脾臓・胃-感情(心):不安・心配-魂(氣):脾経・胃経 という全てが相互に作用しあい健康に影響を与えているのです。

 

脾・胃経アサナ

経絡ヨーガ療法において、脾/胃経にアプローチするアサナは6種ですが、ここでは2種ご紹介いたします。


【脾/胃経アサナⅠ半分の鞍のポーズ】

①ヨガマットや毛布の上に両脚を伸ばして座り、右膝を曲げ、右足のかかとを臀部の外側に置きます(図1)

②上体を後ろに倒し、両手もしくは両肘で體を支えます(図2)
※余裕がありできる場合は、背中を床へ下ろします(図3)

③ゆっくりと深く長い呼吸を繰り返し、3~5分ほどこの姿勢を保ちます。
※初めての方は、苦しくならない程度の時間(1分からでもOK)行い、慣れてきたら1分づつ時間を延長してみましょう。
タイマーをセットしておくのがおススメです。
※決して筋肉の力を使うことなく、重力に身を委ねるように静止状態を保ちましょう。

④ポーズを終えたら、手で床を押しながら、ゆっくりと上体を起こします。
右脚を伸ばし、両手を状態の後ろに置き、数分間休みます(図4)

⑤次に①~④を右脚を伸ばし、左脚を曲げて行います。

【脾/胃経アサナⅡ竜のポーズ】

①ヨガマットや毛布の上に四つん這いになります(図1)

②左足を前に出し、臀部を前方に移動させます(図2)

③両手もしくは指先を床につき、右脚を後ろにしっかりと伸ばします(図3)
※難しい場合は、手の下にヨガブロックを置き、高さを調節します(図4)
④ゆっくりと深く長い呼吸を繰り返し、3~5分ほどこの姿勢を保ちます。
※初めての方は、苦しくならない程度の時間(1分からでもOK)行い、慣れてきたら1分づつ時間を延長してみましょう。
タイマーをセットしておくのがおススメです。
※決して筋肉の力を使うことなく、重力に身を委ねるように静止状態を保ちましょう。
⑤ポーズを終えたら、左足を後ろに下げ、お尻をかかとの上に置き、子供のポーズ(休息ポーズ)で
数分間休みます(図5)
⑥次に①~⑤を右足を前に出して行います。
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経絡ヨーガ療法においては、ポーズ(の形)がうまくできることが重要なのではなく、いかに呼吸がスムーズに行えるか?
力を抜き、いかに體を心地よく解放できるか?を大切にします。
ポーズに慣れてきたら、ウジャーイー・プラーナ―ヤーマを併用して練習します。
このように数分間の静止と呼吸法を用いるのが、経絡ヨーガ療法の特徴であり、それによって體の陰組織(骨や靭帯)と経絡の「氣」に同時に働きかけます。
あれこれと忙しく沢山のポーズに取り組むのではなく、ひとつのポーズにじっくり向き合うことで、自らの<體・心・魂>をより繊細に感じることができるようになるのも経絡ヨーガ療法の特徴です。

また、経絡ヨーガ療法の実習においては、
①筋肉を使わず、心地よい刺激を感じる程度に伸ばし、重力に身を委ねる。
②静止状態を保ち、呼吸を丁寧に行う(もしくはウジャーイー・プラナーヤーマを行う)
③ひとつのポーズが終わったら、1分~数分休む時間を取る。
この3つが原則となります。

ご自身の無理のないペースで、お試しください。