【経絡ヨーガ療法の理論と実践⑦腎・膀胱経】

ここからは、各経絡と臓器の特性と、それらに対応するアサナ(ポーズ)をご紹介してゆきます。

まずは、<腎経と膀胱経>について。

腎経(陰)と膀胱系(陽)は、陰陽でペアになっています。
中国医学では、「腎経と膀胱経は、體全体の陰陽のバランスを保つための土台である」と言われています。
腎臓と膀胱は、生命力の貯蔵庫であり、他の臓器が十分にその機能を果たすためには、このペアのバランスをとることが必要であり、経絡ヨーガ療法では、腎臓のアサナから始めます。

<腎臓>は、血液をろ過し、老廃物を取り除き、體に必要な栄養を分解する働きや、体液のバランスを取り、血圧や糖代謝を調整します。
腎臓の機能が障害されると、高血圧及び高血圧から発症する様々な症状、浮腫み、排尿困難などを生じ、下半身の循環が悪くなります。

<膀胱>は、尿を蓄え、老廃物を尿として排出します。
膀胱系は、14経絡の中で最も長い経絡であり、督脈と膀胱系だけが脳を流れると言われています。
五行論では腎臓は「水」と密接に関係し、腎臓の健康状態が、血液と循環器系・リンパ系・内分泌系などの水分を司るシステムに大きく影響します。

また、中国医学では、感情は「氣」の現れのひとつであると考えられており、長く続く感情の乱れは、臓器や経絡の機能を障害し、臓器の機能不全や経絡の氣のアンバランスもまた、感情の偏りや乱れを生じさせます。
腎臓のバランスが損なわれると、「恐怖」という感情が生じやすくなります。
恐怖という感情は誰にでもあるものですが、襲い掛かる恐怖に囚われてしまうことで、腎臓のエネルギーを消耗します。
また、腎氣が不足している場合も、恐怖を感じやすくなります。
このように、體:腎臓・膀胱-感情(心):恐怖-魂(氣):腎経・膀胱系 という全てが相互に作用しあい健康に影響を与えているのです。

 

腎・膀胱経アサナ

経絡ヨーガ療法において、腎/膀胱経にアプローチするアサナは11種ですが、ここでは2種ご紹介いたします。

【腎/膀胱経アサナⅠ蝶のポーズ】

①ヨガマットや毛布の上に腰を下ろし、両脚を前に伸ばします。
背中を真っ直ぐにし、坐骨に均等に体重がかかるように座ります(図1)

②両足の裏を合わせ、脚がひし形になるように両足を前に出し、膝を開きます(図2)

③両足首を両手で軽く掴み、ゆっくりと息を吐きながら前屈します。
臀部・鼠径部・腰に適度なストレッチを感じるところまで前屈したら、背中の力を抜きましょう(図3)

④ゆっくりと深く長い呼吸を繰り返し、3~5分ほどこの姿勢を保ちます。
※初めての方は、苦しくならない程度の時間(1分からでもOK)行い、慣れてきたら1分づつ時間を延長してみましょう。
タイマーをセットしておくのがおススメです。
※決して筋肉の力を使うことなく、重力に身を委ねるように静止状態を保ちましょう。
※ 股関節周りが辛かったり、前屈の姿勢が苦しく感じる場合はクッションを使い、リラックスしてポーズが取れるように工夫します(図4)

⑤ポーズを終えたら、息を吸いながら上体を真っ直ぐに起こします。
脚を伸ばし、仰向けに寝そべり、数分間リラックスして休みましょう。

 

【腎/膀胱経アサナⅡスフィンクスのポーズ】

①ヨガマットか毛布の上にうつ伏せになります(図1)

②上体を起こし肘をつき、手のひらを合わせて前に置きます(図2)
※この時、肘を最も體が安定する位置に調整します。
肩の真下かその前後あたりで、自分にとって良い場所を探してみてください。

③背骨を心地よく反らせ、ゆっくりと深く長い呼吸と共に、この姿勢で3~5分静止状態を保ちます。
下半身は力を抜き、お腹は重力に委ねるようにリラックスしましょう。
※もう少し状態を持ち上げたい場合は、肘の下にタオルなどを敷き高さを調整しましょう(図3)

④ポーズが終わったら、息を吐きながらうつ伏せになり、1分程休みます。
體全体が落ち着いたら、手で床を押し、お尻を持ち上げて踵に下ろし、ゆったりとした呼吸と共に1~2分程この姿勢を保持します(図4)
———————————————

経絡ヨーガ療法においては、ポーズ(の形)がうまくできることが重要なのではなく、いかに呼吸がスムーズに行えるか?
力を抜き、いかに體を心地よく解放できるか?を大切にします。
ポーズに慣れてきたら、ウジャーイー・プラーナ―ヤーマを併用して練習します。
このように数分間の静止と呼吸法を用いるのが、経絡ヨーガ療法の特徴であり、それによって體の陰組織(骨や靭帯)と経絡の「氣」に同時に働きかけます。
あれこれと忙しく沢山のポーズに取り組むのではなく、ひとつのポーズにじっくり向き合うことで、自らの<體・心・魂>をより繊細に感じることができるようになるのも経絡ヨーガ療法の特徴です。

また、経絡ヨーガ療法の実習においては、
①筋肉を使わず、心地よい刺激を感じる程度に伸ばし、重力に身を委ねる。
②静止状態を保ち、呼吸を丁寧に行う(もしくはウジャーイー・プラナーヤーマを行う)
③ひとつのポーズが終わったら、1分~数分休む時間を取る。
この3つが原則となります。

ご自身の無理のないペースで、お試しください。